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「雨模様」の本来の意味と読み方は? ~走り梅雨、梅雨雲、送り梅雨という言葉の意味と

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雨は様々な歌に詠まれ、季節や情景、ときには心情を伝えるときの比喩表現としても多く用いられてきました。今回は「雨模様(あめもよう・あまもよう)」という言葉の意味について触れてみたいと思います。

「雨模様」の読み方と本来の意味と

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雨模様という言葉は「あめもよう・あまもよう」のどちらの読み方でも構わないとされています。辞書によって説明は異なりますが、「あまもよう」という読み方の方が「あめもよう」よりも古風であると言われています。

「雨模様」の本来の意味は「今にも雨が降り出しそうな様子」のこと。読み方は「あめもよう・あまもよう」(どちらで読んでも構わない)

雨模様の本来の意味は今にも雨が降り出しそうな様子のこと。雨が降っている状況を表現するときに「雨模様の空」という言葉を使うことは本来の意味から考えると誤用ということになります。ただ明鏡国語辞典の第2版によると、

[最近の言い方で]小雨が降ったりやんだりすること。「式典はあいにくの―の中で行われた」

という表現を認めるようにもなりつつあります。面白いのは、辞書によっては雨模様の意味を「今にも雨が降り出しそう」「雨が降っている様子」の両方許容しているものもあれば、「雨が降っている様子」は誤用と言い切ってしまうものがあるということ。岩波国語辞典の第7版を引いてみると、雨が降っている様子という意味で雨模様を使うことは誤りであると書かれています。

言葉は変化するものだけど ~文化庁の調査でわかる言葉への理解

文化庁の国語に関する世論調査では、雨模様の「雨が降り出しそうな様子」という本来の意味を知っている人よりも「小雨が降ったり止んだりしている様子」という意味で理解している人が多いという結果が出ています。

文化庁 | 文化庁月報 | 連載 「言葉のQ&A」

調査によると、60歳以上の人と20代以下の若年層が本来の意味を理解している人が多いということがわかります。一般的に、若年層ほど本来の意味とは違う意味で理解している統計が現れることが多く、雨模様に関しては意外な傾向であると言えるのではないでしょうか。

雨模様という言葉の歴史、走り梅雨、梅雨雲、送り梅雨という言葉

雨模様という言葉は、雨催い(あめもよい・あまもよい)言葉が変化して現れたもの。たとえば「眠気を催す」という状態を考えると、眠たいけれどまだ眠っていないということがわかりますね。同じことで「雨を催す」も、まだ雨が降っていない状態であるということがわかります。

雨といえば梅雨。走り梅雨とは、梅雨があっという間に終わってしまうという意味ではなく、梅雨入りする前に梅雨どきのような雨が降ること梅雨雲とは、雨模様と同じで梅雨どきの、今にも雨が降り出しそうな天気のこと。そして最後に送り梅雨とは、梅雨の終わりの頃に降る強い雨のことを言います。梅雨を送り出すイメージでこのように表現されるようになりました。

それぞれ、梅雨に入る前から終わる頃までの季節を伝える情緒ある言葉。時候の挨拶などに織り込んで見上げる空を共有しあう、それもまた素敵なことかもしれませんね。