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「上には上がいる」は間違いで「上には上がある」が正しい使い方だった!

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福沢諭吉!福沢諭吉!

財布が分厚い理由は、中にたくさんのポイントカードが入っているから。福沢諭吉さんがたくさんいるわけではありません。会いたいのに。

今日は「上には上がいる」という使い方は誤用であることを説明します。これ、福沢諭吉さんの「人の上に人を造らず」という言葉が影響を与えているのかもしれませんね。

「上には上がいる」ではなく「上には上がある」を使う

「上には上が」という表現の対象は「モノ」。ヒトではありません。

「上には上がある」とは最高にすぐれていると思っても、さらにすぐれたものがあること。己を戒めるときに使う言葉。

ひとそのものの優劣ではなく、ひとが何かをする・発する、そのモノやコトに対する「上と下」という考え方をします。「いる」という表現は、存在を示すので、比較の対象がヒトになってしまいますよね。曖昧な基準でヒトを比較するのではなく、そのヒトから発せられるモノの優劣を思うことで、自身の足らずを知るために使う。自分を謙虚にするための言葉です。

ところで、「上には上がいる」と「上には上がある」。Googleで検索してみると、たくさんの場所で誤用されていることがわかります。

上には上がいる 約 3,790,000 件
上には上がある 約 9,200,000 件
(2013/6/26 Google検索の結果)

どうして誤用である「上には上がいる」がこんなにも一般的になってしまったのか。それは冒頭にも書いた通り、「学問のすすめ」の冒頭の言葉が原因なのかもしれません。

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」の本当の意味って?

福沢諭吉さんの学問のすすめの書き出し。引用してみます。

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。されば天より人を生ずるには、万人は万人みな同じ位にして、生まれながら貴賤(きせん)上下の差別なく、万物の霊たる身と心との働きをもって天地の間にあるよろずの物を資(と)り、もって衣食住の用を達し、自由自在、互いに人の妨げをなさずしておのおの安楽にこの世を渡らしめ給うの趣意なり。されども今、広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様雲と泥(どろ)との相違あるに似たるはなんぞや。その次第はなはだ明らかなり。『実語教(じつごきょう)』に、「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり」とあり。されば賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとによりてできるものなり。また世の中にむずかしき仕事もあり、やすき仕事もあり。そのむずかしき仕事をする者を身分重き人と名づけ、やすき仕事をする者を身分軽き人という。すべて心を用い、心配する仕事はむずかしくして、手足を用うる力役(りきえき)はやすし。ゆえに医者、学者、政府の役人、または大なる商売をする町人、あまたの奉公人を召し使う大百姓などは、身分重くして貴き者と言うべし。

この書き出しは有名ですよね。ところが、この文章の意味そのものも勘違いされていることが多いようです。冒頭の部分だけを読むと「ひとは皆、平等である」と書いてあるように思いますが、実際は「人は不平等なものであり、その差は学の違いによるものだ。だから勉強しましょうね」ということを伝えようとしているんですね。

映画トムとジェリーのデビュー作も「上には上がある」だった

今回の記事を書くにあたって色々調べていると、トムとジェリーのデビュー映画のタイトルも「上には上がある」だったということを知りました。

とある広い屋敷。そこでペットとして飼われている1匹の猫。ジャスパー、後のトムである。
他方この屋敷にはもう1匹、茶色い鼠のジンクス、後のジェリーも穴を作って住み着いていた。ジャスパーはジンクスを食べてしまわず、寧ろ恰好の遊び道具として、追いかけ回すなどしてからかっていた。その過程で、屋敷の台所などは滅茶苦茶にされ、お手伝いの人は頭を悩ませていた。
あまりに度の過ぎる猫の暴れ振りに立腹するお手伝い。「次に何か物を壊すと家を追い出してやるから!」と最終警告を出す。これを聴いてジンクスはジャスパーを家から追い出そうと、ジャスパーに物を壊させる、或いはジンクスが自分から物を壊すことを試みる。ジャスパーはそれを食い止めようと必死だ。こうして2匹はギリギリの攻防を続けていたのだが、その結末は…

引用元:上には上がある – Wikipedia

子どものころ、夢中になって見ていた記憶がありますが、元々は大人向けのコミカルな風刺物だったんですね。こんな風にブログを書いているなかで調べ物をしていると、知らないことに出合える。それが楽しいのは、やらされる勉強ではないからでしょうか。

福沢諭吉さんの伝えるところにしたがって、今日はやはり「勉強って大切だなぁ」をまとめにして、終えたいと思います。上には上がありますねぇ。