140文字で変わる表現力 PR

「故障中」という言葉の使い方は誤用 ~「中(ちゅう)」という字の正しい使い方

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ようやく見つけたトイレに「故障中」という張り紙。

トイレ

絶望的な気持ちになっているときに「故障中という表現はおかしいなぁ」なんて思う余裕はないかもしれませんが、この「~中(ちゅう)」という言葉の使い方も注意が必要です。「営業中」はOKでも「故障中」は誤用になる、その理由を確認してみます。

「故障中」という言葉は誤用である理由 ~主体は人か物か

故障中という言葉で使われる「~中(ちゅう)」。この「中(ちゅう)」という言葉は、主体が人であるときに使います。

「故障中」という表現は誤用。
「~中(ちゅう)という言葉は、
主体が人であるときに使う

故障中という言葉の主体は人ではなく、モノ。主体がモノになっているときに「~中(ちゅう)」という言葉を使うのはおかしいので、トイレの故障中という表現は誤りであるということになります。一方、「営業中」という言葉はひとが業を営むので正しい使い方になります。「勉強中」も人が行うもの、「仕事中」という言葉も人がその状態にあることを説明していますので誤りではありません。

「故障中」は重複表現 ~故障中が誤用であるもうひとつの理由

故障中という表現は、その主体が人ではないから誤りであるということを説明しました。もう一つ、故障中という言葉が誤用になる理由があります。それは「故障」という言葉はすでにその状態にあることを表現しており、状態を伝える「~中(ちゅう)」という言葉を続けてしまうと重複表現(重語)になってしまうというものです。

橋の橋脚、トーストを焼く、一番最初、最後の切り札、被害を被る… こういった重複表現は慣用化していることもあって誤用ではないという考え方もあるようですが、表現力において大切なことは稀な事例で正義を貫くのではなく、原義を知り大多数にとって無難な言葉を選んでいくことであると考えています。表現力は減点評価、知らないで損をしてしまうことのないようでありたいですね。