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「ご清栄」と「ご盛栄」の違いと使い分け ~申し上げるのは「お喜び」か「お慶び」か

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手紙文の書き出しで用いられる「ご清栄」と「ご盛栄」。

「拝啓 陽春の候、貴社におかれましてはますますご盛栄のこととお喜び申し上げます」と使いますが、この「ご清栄」と「ご盛栄」にはどのような違いがあるのでしょうか。その区別について整理してみましょう。

「ご清栄」と「ご盛栄」の区別、使い分けについて

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「清栄」と「盛栄」、どちらも「せいえい」と読み、手紙文で用いられます。実際に使われることが多いのは「清栄」の方ですが、その区別は「せいえい」を構成している漢字を見れば使い分けることが出来るようになります。

「清栄」とは、健康や繁栄を祝う言葉
「盛栄」とは、商売が盛んであることを祝う言葉
→商売繁盛の「盛」=盛栄の「盛」

「清栄」は相手の健康や繁栄を祝い、「盛栄」は相手の商売が盛んであることを祝う意味。区別として、「盛栄」の字の中には「商売繁盛」の「盛」があると覚えるようにしておけば、もう片方の「清栄」は健康を祝うものであると導き出すことができるのではないでしょうか。

「清栄」は誰に送るときにでも使うことができますが、「盛栄」は相手が商売をされているときだけ使うことができます。商売をされていて、相手方の業績が好調であることがわかっているときは「盛栄」を使っても問題はないでしょう。

ただし。

商売にも色々な種類があります。たとえば手紙を送る相手が病院や葬儀会社など生老病死に寄り添うものであった場合、盛栄という言葉を使ってしまうと別の意味でとられてしまう可能性もあります。また、手紙を送るこちが側の知らないところで、商売がうまくいっていない可能性もありますね。そういう意味で「清栄」という言葉を使っておいた方が無難であるという考え方はできるのではないかと思います。

「お喜び」と「お慶び」の違いについて

「ご清栄のこととお喜び申し上げます」と書くときに「お喜び」と書くべきか「お慶び」と書くべきか。

常用漢字になっているのは「喜ぶ」の字なので、「お喜びを申し上げます」と書くことが正しいということになります。ただ、慶事では「慶ぶ」という字を使う習慣が広まっていますし、一般的にはより強く祝う気持ちを表現するときに「慶」を使うようになってきています。

常用漢字を用いることとされている公文書など特別の制限がない限り、私信で、気持ちを込めて伝えたいときは「お慶び申し上げます」と表現することは問題ないと考えて良いでしょう。