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「語るに落ちる」の誤用と意味と ~「語るほど価値のない人間だ」という誤った意味で理解していませんか?

「語るに落ちる」という言葉があります。「彼は悪いことばかりをして、もはや語るに落ちた」という風に、「語るに落ちる=語るほどではない、つまらない」という意味で使われていることがありますが誤用。今回は「語るに落ちる」の正しい意味と使い方について紹介します。

「語るに落ちる」は「つまらない」という意味ではない

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「語るに落ちる」には「語るほど価値がない」という意味はありません。

「語るに落ちる」には「語るほど価値がない、つまらない」という意味はない、
聞かれても答えないのに、自分から話し出すとつい本心を出すという意味

「語るに落ちる」は、こちらから聞いても答えないくせに、自分から話し出すとつい本心を出すという意味になります。

「誰のことが好きなのか、教えて」
「いやだよ教えない、今は特に好きな人いないし」

たとえばこんな会話で、質問をしても答えを教えてくれない人がいます。ところが、旅行に出かけたり飲みに行ったりすると、つい、自分の本音を語り始める人っていますよね。

「西端くんのこと、前から気になってたんだけどさー」

このように、聞かれてても答えを教えないのに自ら本音や本心を語り始める状態のことを「語るに落ちる」(=語る状態に落ちた)といいます。

「語る価値のないほどつまらない人間のレベルにまで落ちた」と考えて、語るに落ちたを「つまらない」という意味で考えるのは誤り。「落ちる」という言葉のイメージに引っ張られて、そのような誤用が広まりつつあるようです。

「問うに落ちず語るに落ちる」を略したのが「語るに落ちる」

「語るに落ちる」という言葉は、「問うに落ちず語るに落ちる」という言葉が略されて使われているもの。「問いかけても落ちないが、語らせると落ちる」という意味です。

ドラマや映画の警察の取り調べシーンで、「落ちた」という表現が使われることがありますね。警察が何を聞いても答えなかった容疑者が、刑事と故郷の話題などで話をした次の瞬間に、自白を始めるということがあります(実際にあるのかどうは分かりませんが)。これなどはまさに、「語るに落ちる」という意味の通りです。


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  • 西端 康孝 / コピーライター・歌人・川柳家

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