「お得な情報を配信します」と「売り言葉ばかりがウンザリするほどやってきます」の紙一重。
公開日:
:
140文字で変わるコミュニケーション, 140文字で変わる経営
来店されたお客様にリピーターになってほしい。その想いから、メール会員募集という貼り紙や告知を店内で見かけることがあります。
一度登録すれば割引やイベント情報などが定期的に送られてくるようになるこの手段。上手に活用しているお店もあれば、迷惑メールと同じような扱いにされてしまっているお店もあります。そもそも、色々なことを懸念されて、登録さえしてもらえないお店も多いのかもしれません。
自分のことを話す人よりも、自分のことを聞いてくれる人の方が好き
メール配信は、自分のことばかりを話そうとする手段。店と客という関係ではなく、これが出会ったばかりの人と人との関係ではどうでしょうか。
「俺の仕事って、ちょっと特別でねぇ。で、将来はこんなことをしたいと思ってるんだ。いや、ここまでたくさん苦労してきたよー」
「どんなお仕事をされているんですか? へぇ、新しい事業に取り組まれて、大変でしょう?」
聞かされるよりも聞いてくれる、その姿勢だからこそ、こちらも自分のことを話しやすくなるのは明らかですね。情報を配信したい側は、自分のことを話し始めるより前に、お客さんのことをどれだけ知ろうとしたでしょうか。
「お得な情報を配信します」とは、お客さん側から見たとき「売り言葉ばかりがウンザリするほどやってきます」になりがち。ならば、さて。
洋服を取り扱うお店。
「そちらの服、お似合いですよ」という語りかけをやめて、「今日はどちらからお越しになったんですか?」という問いかけにしたところ、売上が劇的に変わってきました。個人情報に踏み込みすぎることは出来ませんが、当たり障りのない質問の先にこそ会話が始まるのであるということ、心に留めておきたいですね。
▼関連の深いこちらの記事もどうぞ▼
関連記事
-
-
【差別化の勘違い】対価を得る以上、お役に立つのは当たり前で。
売り気のある言葉は下心と同じですよー、というお話を先日いたしました。 「余計なお世話じゃ!」
-
-
「ご進言ありがとうございました」と使っていませんか? ~「進言」の誤用と意味に注意
「ご進言(しんげん)ありがとうございました」というフレーズを使ったり聞いたりしたことはないでしょうか
-
-
商売をしている方は要注意!「お求めやすい金額です」という言葉を誤って使っていませんか?
「お求めやすい商品です」「お求めやすい金額になっていますので、この機会にぜひどうぞ」 広告や店
-
-
暑中見舞いや年賀状に句読点があってはならない理由と、一文字下げをしてはならない理由について
賞状や証書の類を見ていると、その文面に句読点のないことに気がつきます。また、段落の最初が一文字空いて
-
-
「御の字(おんのじ)」という言葉の誤用と正しい意味 ~満足だったのか、納得だったのか
「貸したお金の半分がようやく戻ってきた、まあいくらか返ってきただけでも御の字(おんのじ)だね」と御の
-
-
お得情報は売る側がお得だということを、もう、お客様は知っている。
「アンケートだ、アンケートをとるのだ!アンケートにメールアドレスを書いてもらえ、そしたら後日、ごそー
-
-
選ばせないという選択肢。
どっちにしようかな、と悩ませるのではなく、どちらもどうぞと「与える」ことを選択肢にしてしまう。もちろ
-
-
「了解しました」は失礼だから「承知しました」という表現を使うのがビジネスマナーだと習いました。本当ですか?
ビジネスマナーの教室や本では「了解しました」という言葉は、上司や先輩など、目上の人に使ってはいけない
-
-
商売の一生懸命を、夢の跡に学ぶこと。
「テナント募集」という案内を見かける機会が増えてきたような気がします。 昨日までそこに
-
-
主張のなかの「ありがとう」に、人の器を見た。
「自分はこんなにすごいんですよ、自分はこんなに頑張ったんですよ」 そんな風に伝えたくなるようなとき