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「謹んでお詫びいたします」か「慎んでお詫びいたします」か!? ~謹むと慎むの違いについて

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新聞新聞

新聞の購読部数が減っていることはみなさんもご存知かと思います。また、テレビではバラエティやニュース番組を中心にテロップ(字幕)が使われることが多くなってきました。このテロップ、意外に誤字や誤用が多かったりするんですよね。新聞は校正専門の部署があることからもわかる通り、表現のひとつひとつに細心の注意を払っています。同じことを伝えるのであっても、表現に対する配慮があるのはやはり新聞の方に一日の長がありますか。

内容を「知る」だけであれば手段は色々あっていいと思いますが、表現を「学ぶ」ときには新聞は最高のメディア。新聞各社の持つ思想はともかく、時々は、紙面の海に飛び込んでいろんな発見をしてみたいですね。

慎むと謹むの違い

不祥事などがあると「謹んでお詫びいたします」という表現がよく出てきます。「慎む」があるので、混同しやすい漢字といえるでしょう。漢字の使い分けで困ったら熟語にしてみるのも一つの方法ですが「謹慎」があるので、これまた難しいところです。

「謹む」には、相手を敬う気持ちが含まれる→《相手》
「慎む」には、自分が出過ぎぬよう行動を控える意味がある→《自分》

意味の違いとしてはこんな風になります。謹むは相手に対する敬意。冒頭の「お詫びする」であれば、それは相手に対する敬意が含まれていなければなりませんので「謹んでお詫びいたします」が正解となります。一方で「慎む」のは自分自身。場の空気を読んで調子に乗りすぎないようにする、悲しみの席で不遜な発言のないよう気を付けるなど、己の行動を律するときに使われます。

慎むと謹むの覚え方

電話番号の117と177と同じく、「二つの意味の違いはわかったけれど、いざとなったら思い出せない」のが表現や漢字の使い分け。この使い分けをすぐに思い出せるキーワードを紐づけておくと、記憶の引き出しから取り出してきやすくなります。

謹むと慎むの違いは、「謹賀新年」で覚えておく

謹むは「相手」に対する敬意、慎むは「自分自身」。年賀状でよく使う謹賀新年という表現は「謹んで新年のお慶びを申し上げます」と、相手を意識して送るものなのですから「謹」を使って敬意を表します。相手の存在を思うかどうかが、この漢字の使い分けのポイント。ならば、相手を想って送る年賀状を、この使い分けにリンクさせておこうというわけです。

謹しむと慎しむは間違い

謹むと慎むは、謹しむ・慎しむとしてしまいがち。送り仮名にも十分注意してくださいね。

慎むと謹むの語源

謹む、慎む。この漢字はどちらも「包む」を語源としていて、モノをあからさまに見せないという意味があります。いかにも日本語らしくて奥ゆかしいと思いませんか? 形式的に使われがちな「謹んで」「慎む」という表現ですが、相手を敬い、また、自分を律する、とても綺麗な表現。どちらの言葉も、背筋をしゃんとして使いたいものです。