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皇族の方が逝去されたときに用いる「崩御」「薨御」「薨去」「卒去」について

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ひとが亡くなったときに用いる「逝去」という言葉について、以前このような記事を書きました。

「弊社社長が逝去いたしました」という言葉を使ってはいけない理由 | コトバノ

逝去とは、死ぬという言葉の尊敬語。敬意を含めた言葉なので、身内に対して用いるのは不適切であるということを解説しています。

さて、この「逝去」という言葉以外に、皇族の方が逝去されたときに用いる特別な表現があるのをご存じでしょうか。

皇族の方が逝去されたら、立場によって「崩御」「薨御」「薨去」「卒去」を使い分ける

koukyo

日本の天皇陛下をはじめとして、皇帝、国王、太皇太后、皇太后、皇后、その他の君主など特別な位に位置する方が亡くなったときは「崩御(ほうぎょ)」という言葉を用います。かつて日本国内の報道で、皇后さまご逝去の際にもこの崩御という表現が用いられたことがありますが、報道機関によっては天皇陛下にのみこの表現を用いると厳密に定めているところもあります。

「薨御(こうぎょ)」は皇太子や大臣の逝去について。「薨去(こうきょ)」は皇太子妃や親王・親王妃や内親王、または位階が三位(正三位・従三位)以上の方の逝去について用います。この薨去という表現は外国でも同じような立場にある方に使われることの多い表現。

「卒去(そっきょ、しゅっきょ)」は王や女王、または位階が四位(正四位・従四位)・五位(正五位・従五位)以上の方の逝去について使われます。

皇族の方に「逝去」という言葉を使っても問題はないのか

逝去という言葉そのものが尊敬語なので、皇族の方やそれに近い方々に用いたとしても間違いではありません。位階によって言葉を使い分けることで、その敬意の程度をさらに高めようとしているわけです。

言葉の使い方や表現そのものに慎重であるべき報道機関は、本来、皇族の方に対する敬意の表し方として、これらの「崩御」「薨御」「薨去」「卒去」を厳密に使い分けるべきであるという意見が多いことも事実。ただ、一方で報道は、事実を見出しで簡潔に伝え、その掘り下げた内容を記事(本文)内に記述するという役割も求められています。新聞という紙メディアだけであればともかく、映像や音声、そしてパソコンやスマホといった限られた空間のなかで事実を簡潔に伝えるためには、受け取る相手が誰であっても内容を想像できる表現を用いる必要があります。

そういった時代背景の変化もあって、近年、皇族の方が亡くなったときにも「逝去(ご逝去)」という言葉が用いられることが増えてきました。

なお、「死去」や「死亡」という言葉も事実を端的に伝える言葉ですが、この2つについては皇族の方には用いないこととされています。

「往生」と「他界」はどう使い分けたらいいのか?

宗教や信仰によって「他の世界」の考え方が変わります。

「往生」と「他界」の意味の違いと誤用、使い分けについてもまとめましたので、参考にしてください(2018/8/18追記)