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「万障お繰り合わせの上」という表現は招待するときや目上の方、お客様に使うのは失礼なのか?

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招待状やDM、あるいは出席を求める呼びかけの文章に「万障お繰り合わせの上、ご参加ください」といった表現を見かけることがあります。この「万障お繰り合わせの上(ばんしょうおくりあわせのうえ)」という表現はどんな相手に対しても、どんな状況でも使うことができるのでしょうか。

「万障お繰り合わせの上」は強制的で失礼な文章になってしまう可能性がある

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「万障お繰り合わせの上」という言葉は定型表現になりつつあるので、意味や敬意を考えずに参加要請を行うときに使って良いという考え方があります。一方で、言葉の難しいところは立場や世代によってはその使い方に神経質になる必要があるということ。最近ではこういう使い方が許容されつつあるという場合は、それに違和感を覚える人もいるということを知っておいた方が良いでしょう。言葉の正しい意味や誤用について論じるよりも、知っている側が知らない側に配慮をするのがマナーとしては美しいように思います。

「万障お繰り合わせの上」は強制的で失礼な文章になってしまう可能性がある

「万障お繰り合わせの上」とは「色々差し障りもあるでしょうが」という意味。「万障」とは「いろいろな障害」という意味ですね。

「万障お繰り合わせの上、ご出席ください」と書いたメールを送りました。受け取った側はその時間、大切な友人や家族と過ごす先約があったとします。こうなると、「大切な約束=障害(万障)」ということになってしまうので、メールを受け取った側はいい気分がしません。送る側は招待という感覚でこのメールを送ったのかもしれませんが、ありとあらゆる障害を乗り越えて絶対来るようにという強い意味を含むのが「万障お繰り合わせの上」という表現。出席や参加することが事実上決まっている場合のみ使うのが望ましく、出欠の自由が参加者の意思に委ねられる場合は用いないようにしたほうが無難です。

「できるだけ参加してほしい」というニュアンスを伝える表現は?

「万障お繰り合わせの上」という表現には強制参加のニュアンスを含むということを書きました。この解釈は人や辞書によっても違いますし「もしもご都合がつくようであれば」という感覚で使われているのが実際のところだと思います。

何をどう、表現を使い分けるべきか、どんなリスクがあるのかということを区別して覚えるのが面倒であれば「是非」「是非とも」という表現を用いるのが無難であると覚えておけば良いでしょう。「お忙しいところ恐れ入りますが」という表現を使うこともできますが、以前「ご多忙のところ」という表現は使わない方が無難という記事について書いていますので、そのあたり、参考にしていただければ幸いです。

「ご多忙のところ」は使わない方が無難 ~多忙と多用の使い分け | コトバノ