「安売りはだめだ」を言い訳にしていて。
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140文字で変わる経営 営業力, 心配り, 接客
昨日の問題には多数のご回答をいただいております。
皆さんの意見、本当に面白いものばかりでしたので、また、メールでまとめて回答編をお送りさせてもらいますね。ありがとうございます。
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さて。
「安売りはだめだ、体力勝負になるから」という話をよく聞きます。デフレの仕組みから考えても、物の値段を下げていくことは関わる人たちすべての幸せを削ぎ取っていくことになりかねず、値下げが値下げを生むような悪循環は断ち切るべきだというのは自分にとっても同じこと。
では値下げ競争に巻き込まれないためにどうしたらいいのか、という問いかけをすると、答えは大抵、こんな感じのものになってきます。
- 付加価値をつけて、お客様にご納得していただける商品とサービスを提供する
- 差別化に取り組んで、自社の商品をブランド化する
他を蔑むことが差別化なのだとすればでも触れましたが、では、「付加価値」とは「差別化」とはいったい何なのでしょうか? 自分たちがこうありたい、ではなく、お客様の目に見えて、心に届く明確なメリット、差異。教科書的な回答ではなく、あの会社(お店)はこの部分が他のお店とは違うということをお客さんがどういう言葉で語ってくれるのでしょうか?
価値やブランドは、自分たちが決めるのではなく、お客様の心に育つもの
会社やお店のどんな想いも、お客さんの口を借りて伝わらなければ、それは経営者のエゴでしかありません。当たり前の話ですが、自分たちの価値は自分たちで決めるのではなく、お客様の心が決めること。差別化やブランドは、お客様の心に育つものなのです。
「安売りは駄目」は、確かに正論。でも、それは正しくは自社や自社に関わる人たちの幸せを削ぎ取ってまで行う戦略のない安売りは駄目なだけで、お客様に喜んでいただきたいという想いを具現化したものの一つが安売りであれば、決してそれは駄目な行為だとは思いません。
むしろ、安売りをしないことがプライドであると信じ込んで、お客様の心に育つ明確なブランドを提供出来ていない会社のほうが罪作りであると言い切ってしまうのは、危険な意見でしょうか。
型番の決まった商品。
僕たちは、買う立場であれば、安い方を選びます。
型番のない商品。
僕たちは、買う立場であれば、売ってくれる人を選びます。
お客さんに喜んでいただくためのことを全力で考え、その背中に人の集まる雰囲気を作っていく、そんな物語の中では、べき論の範疇で限定してしまわないほうが、むしろ、様々な人を幸せにする仕組みを作っていけるのではないか? 僕はそんな風に思えてならないのです。
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