*

「秋味(あきあじ)といえば秋刀魚だよね」という表現が誤りである理由 ~秋味とは

秋刀魚や栗、芋やキノコなど様々な食材が美味しく感じられるようになる季節、秋。

ところで、秋の味覚を「秋味(あきあじ)といえば秋刀魚だよね」という風に表現することがありますが、これは誤用です。秋味とは何のことなのか、確認しておきましょう。

秋味とは鮭(塩ザケ)のことを指す!

shake

秋味とは秋刀魚や栗のことではなく鮭(塩ザケ)のことをいいます。俳句の世界で「花」といえば「桜」のことを指すように、秋味とは鮭(サケ)を意味します。「秋の味覚」という意味で秋味という言葉を用いると、冒頭のような誤用になってしまうのでご注意を。

秋味とは鮭(塩ザケ)のことを言う。「秋味=秋の味覚」という意味で用いるのは誤り

余談ですが「秋刀魚(サンマ)」の漢字表記は大正時代以降に行われるようになりました。

サンマは古くは「サイラ(佐伊羅魚)」「サマナ(狭真魚〉」「サンマ(青串魚)」などと読み書きされており、また、明治の文豪・夏目漱石は、1906年(明治39年)発表の『吾輩は猫である』の中でサンマを「三馬(サンマ)」と記している。これらに対して「秋刀魚」という漢字表記の登場は遅く、大正時代まで待たねばならない。

引用元:サンマ – Wikipedia

言葉は変化するものですが、秋刀魚という漢字の登場からまだ百年も経っていないというのは不思議な感じがしますね。

鮭(サケ)は実は白身魚だった! 季節外れの鮭のことは時不知(トキシラズ)と呼ぶ

身の赤い鮭は赤身魚のような印象がありますが、実は白身魚。エビやカニを餌にしているうちに身が赤くなっていくのだそうす。

秋の産卵の頃に日本の川を上る鮭(=白鮭)のことを秋鮭、秋味と呼びますが、初夏の頃に取れる鮭はシーズンを外れているため「時不知(トキシラズ)」と呼びます。秋という季節を知っている鮭のことは秋味、タイミングを外した鮭のことを時不知(トキシラズ)と呼ぶのも、いかにも四季のある日本独特の表現であると言えそうです。

秋に関する言葉のあれこれ「天高く馬肥ゆる秋」「爽やか」の意味についても要注意

「天高く馬肥ゆる秋」「爽やか」という二つの言葉についてもよく誤用されます。

「天高く馬肥ゆる秋」の本当の意味は、のんびりしたものではなかった! | コトバノ

「爽やか(さわやか)」の意味と使い方に注意 ~「風薫る爽やかな季節となりましたが」はOK? | コトバノ

以上の記事にまとめていますので、参考にしていただければ幸いです。





関連記事

「御の字(おんのじ)」という言葉の誤用と正しい意味 ~満足だったのか、納得だったのか

「貸したお金の半分がようやく戻ってきた、まあいくらか返ってきただけでも御の字(おんのじ)だね」と御の

記事を読む

「やるせない思い」を「やるせぬ思い」と書いていませんか? ~やるせないの意味と誤用と

片思いの気持ちなどを表現するときに「やるせない気持ち」と書くことがあります。「やるせない」とは「思い

記事を読む

「珠玉(しゅぎょく)」の意味と誤用 ~「珠玉の長編小説」という使い方は誤り!

美しいもの、尊いものを表現するときに用いる「珠玉(しゅぎょく)」という言葉があります。海の珠(たま)

記事を読む

「失笑」と「爆笑」の笑い方の違いについて ~誤用の多い失笑と爆笑の正しい意味は

「笑いを失う」と書くため「失笑」の意味を「笑いも出ないくらいに呆れる」「あざ笑う」と考えてしまうこと

記事を読む

年賀状に「去年」という言葉を使ってはいけない理由 ~年賀状のタブーに注意

年賀状には句読点を用いてはならないという記事を以前書きましたが、今回は「去年」という言葉を使ってはい

記事を読む

「押っ取り刀(おっとりがたな)で駆けつける」の誤用と正しい意味と ~おっとりしてません!

「押っ取り刀(おっとりがたな)で駆けつける」という表現を「ゆっくり落ち着いて行く」という意味で考えて

記事を読む

忸怩たる思い(じくじたるおもい)ってどんな意味? ~忸怩の誤用で忸怩たる思い

「忸怩たる思い(じくじたるおもい)」という言葉の響きって独特ですよね。 「さわり」を感じで書く

記事を読む

暑中見舞いと残暑見舞いを送る時期 ~「お身体ご自愛ください」は使わない!

この記事をエントリーしている6月15日は、暑中見舞いの日なのだそうです。昭和25年に郵政省が暑中見舞

記事を読む

「姑息」には「卑怯」という意味はなかった! ~姑息の誤用と正しい意味と

「姑息な手段を使いやがって」という言い方を聞くと、卑怯な方法で解決に至ったことに憤っているような印象

記事を読む

「課金する」「寄付する」「募金する」という言葉の意味と誤用に注意!

iPhoneやスマホのアプリで、いわゆる「アプリ内課金」というシステムが一般化しつつあります。より便

記事を読む

Google


▼よく読まれている記事▼


jyugyou
「べき」を文末に使うのは誤り ~「あなたは毎日努力するべき」という使い方をしていませんか?

古文の授業でならった「べし」という言葉は、今日でも、意志や教訓を表す文

dogeza
「不徳の致すところ」の意味と使い方 ~不徳がするからごめんなさい(謝罪)とは? ちゃんと謝罪の意味は含まれてるのか?

政治家や企業の不祥事、その謝罪の記者会見などで「不徳の致すところです」

ondo
利用頻度は高い?大きい? 頻度は高いのか大きいのか、低いのか小さいのか、正しい使い方と覚え方

あることが繰り返し行われたり、あらわれたりする度合いのことを「頻度(ひ

seityou
「感慨深い」と「感動」の違いは何? 「感慨深い」の正しい意味と使い方について

「感慨深い(かんがいぶかい)」という言葉があります。この「感慨深い」と

calendar
「抱負」と「目標」の意味の違いと使い分けは何? 「抱負」にはなぜ「負」という字があるのか?

新年にあたって抱負を語る、今年の目標を決めるという風に「はじまり」のと

→もっと見る

  • 西端 康孝 / コピーライター・歌人・川柳家

    コトバノを運営している神戸のコピーライター西端です。川柳や短歌で日常を綴る短歌と川柳とマカロニとというブログや徒然に毎日を表現する川柳をこよなく愛する明石のタコというブログもやっていますので、良かったら遊びにきてください。書いたり取材したり講演の仕事も承っています。

    路傍という写真に言葉遊びを散りばめたiPhoneアプリもリリースしました。また、こういうiPhoneアプリを出して世に自身の創作を広めていきたいという方のお手伝いもしていますので興味があればこちらの記事をお読みください。
  • follow us in feedly
PAGE TOP ↑