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「弊社社長が逝去いたしました」という言葉を使ってはいけない理由

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仏像!仏像!

「死」は忌み嫌うべき言葉で、直接的な表現は避けるべきとされてきました。

会社の中の人間が亡くなって外部に通知するとき、または家族(身内)がなくなったときこんな挨拶文を送った(見かけた)ことがあるのではないかと思います。今日はこの文章に登場する「逝去」という言葉の使い方について考えてみたいと思います。

▼使ってはダメ!

「父 ○○○○儀 かねてより病気療養中でございましたが去る7月1日 午前10時30分 85歳 にて逝去致しました」

「逝去」という言葉の使い方には注意する

逝去という言葉、これは「死ぬ」という単語の尊敬語。敬意を向けるべき相手に対して使うのは当然ですが、身内に対して使うのは不自然です。

「逝去」とは「死ぬ」の尊敬語
身内が死去した場合は使ってはいけない

お客さんに対して「うちの社長がいらっしゃいました」という言葉の使い方はおかしいですよね。それと同じく、身内の死去に対して逝去という言葉は使ってはいけません

宗派や信仰の違いによって気をつけるべきこと、また、挨拶状に句読点があってはならない理由は下記エントリーでも紹介していますのであわせてご覧ください。

暑中見舞いや年賀状に句読点があってはならないその理由 | コトバノ 10秒で分かるご冥福を祈ってはいけない理由 ~御霊前と御仏前のその違い | コトバノ

逝去も他界も、使ってはいけない場面があります。身内に対しては「永眠」「亡くなりました」などの言葉を使う方が無難と言えるでしょう。

「ご逝去」は二重敬語にならないか?

「逝去」という言葉自体が尊敬語になりますので、「ご逝去」と書くと本来は二重敬語になってしまいます。ただ、中国から伝わった言葉をそのまま使うだけでは敬意が不十分であると考えた人たちによって、今では「ご逝去」という言葉自体は普通に使われるようになりました。よって、「ご逝去」と書くことは誤りではありません。室町時代の文書にも「御逝去」という言葉が出てきているそうで、もはや伝統的な表現になっているんですね。

皇族の方に「逝去」という表現を用いることは不遜?

皇族の方に「逝去」という表現を用いても問題はないのか、という質問をいただきましたので見解を追加しています。

皇族の方が逝去されたときに用いる「崩御」「薨御」「薨去」「卒去」について | コトバノ

こちらの記事もあわせてご覧いただけると幸いです(2014/6/8追加)

「往生」と「他界」はどう使い分けたらいいのか?

宗教や信仰によって「他の世界」の考え方が変わります。

「往生」と「他界」の意味の違いと誤用、使い分けについてもまとめましたので、参考にしてください(2018/8/18追記)

※他記事との矛盾がありましたので、内容を修正しました。メールでのご指摘、ありがとうございました(2019/923)